No.3 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73「皇帝」
2020.11.13
ベートーヴェン生誕250周年記念の小山実雅恵ピアノシリーズ「ベートーヴェン、そして・・・」第4回「本能と熟成」をBunkamuraオーチャードホールで聴きました。指揮は山田和樹、管弦楽は横浜シンフォニエッタです(2020年11月3日)。
「本能」はドレスナーの行進曲による9つの変奏曲WoO.63とピアノ協奏曲第0番変ホ長調WoO.4です。前者はベートーヴェンが11歳の時の作品、交響曲第5番《運命》と同じハ短調。後者は13歳の時の作品。小学生ですね。ピアノ協奏曲第0番は、現存するのはピアノ譜の筆写譜で、演奏されるのは補筆・復元版で、第1楽章のカデンツァはスイスの音楽家ヴィリー・ヘスではなく、小山さんの自作のもの。
モーツァルトが神童なら、ベートーヴェンは天才少年でしょうか。 「熟成」はピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73《皇帝》です。先の0番から25年を経て、交響曲第5番《運命》、第6番《田園》の初演直後の作品と言われています。変ホ長調は交響曲第3番《エロイカ(英雄)》やピアノソナタ第26番《告別》。曲頭で管弦楽の和音、そして、ピアノ独奏の鮮やかで華やかなカデンツァはベートーヴェンの楽譜通り。ピアノ協奏曲の頂点とも言える名曲ですが、小山さんのピアノの演奏が超絶なのはもちろん、協奏、そしてオーケストレーションの壮大さ、管弦楽の総奏の「乗り」と迫力を最高に味わえました。山田和樹の指揮も躍動感ありエネルギッシュで、横浜シンフォニエッタの響きも素晴らしかった。
ピアノ協奏曲はピアノとオーケストラを一度に楽しめる贅沢な作品です。