No.7『琳派と印象派』展
2021.01.31
アーティゾン美術館で開催された『琳派と印象派』展は、「東西都市文化が生んだ美術」を紹介したものでした。この企画展は17世紀初めの京都の俵屋宗達、100年後の尾形光琳、19世紀初めの江戸の酒井抱一や鈴木其一ら琳派による作品を東の都市文化ととらえています。一方、19世紀後半のパリの印象派を西の都市文化ととらえ、東西の美術を「都市文化」というキーワードで再考しています。
展示作品で圧倒するのは、宗達の『風神雷神図屏風』です。この代表作のほか、水墨画の『蓮池水禽図』や『狗子図』もすばらしい。光琳は、『富士三壺図』と『孔雀立葵図屏風』でその鮮やかで美しい作風を伝え、また、水墨画の名作も遺しています。光琳の『槇楓図屏風』と『竹虎図』は、鮮やかな色彩と水墨の対照性を際立たせるものですが、水墨画にも墨の濃淡と筆さばきによって色彩があることがわかります。
都市の文化と美術の紹介ですから、序章は「都市の様子」で最初の展示が『洛中洛外図』。序章の2は「江戸」で『江戸図屏風』で始まり、3「パリ」ではルノワールが『パリ、トリニテ広場』で、ピサロが『ポン=ヌフ』でパリの風景を描いています。
第2章は「琳派×印象派」として「水の表現」「間(ま)」で、東西を対比し、光琳の『白楽天図屏風』などとモネの『水連』で、その表現の違いが示されます。ジャポニスムで日本の浮世絵の影響が知られていますが、「扇型」で琳派の扇絵に対し、マネの『白菊の図』やドガの『踊り子』が扇という和の上に洋の美を乗せています。
東と西の美の描き方と作風の違いが明らかにわかる一方、ともに都市の美術家が発揮する創造性というものに気づかされます。