美とリベラルアーツBlog

No.5 コロナ禍でのベートーヴェン第九

2021.01.10

2020年12月29日にサントリーホールで、ジョナサン・ノット指揮のベートーヴェン第九を聴きました。メゾソプラノのカトリーナ・モリソンとテノールのクリスティアン・エルスナーは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で来日できず、中島郁子と笛田博昭が代わりに出演。ソプラノはジャクリン・ワーグナー、バリトンはリアン・リ。ノットの指揮は軽快で、ノット色がよく出た東京交響曲楽団の演奏でした。第九のあとは、年の締めくくりにふさわしい蛍の光です。
 年末恒例の第九ですが、これまでと異なるのは、コロナ禍での第九ということです。聴者はもちろんマスク着用ですし、合唱の皆さんは歌が始まるまで、弦楽器の皆さんはマスク着用。合唱の皆さんの人数は少ない感じで、最前列の席から数列の客席は空けているようでした。規制退場で、1階カウンターの飲み物のサービスはありませんでした。クラシック音楽のホールは大きく、換気も行き届いていますが、歌うことによる飛沫感染を防ぐことをはじめ、十分な感染対策がなされての公演でした。
 第九の演奏後は拍手が鳴りやまず、蛍の光のあとはスタンディングオベーションが続き、コロナ禍での素晴らしい演奏と歌に、会場全体が大きな感動に包まれました。
 それにしても、コロナ禍は飲食や観光以外にも、社会の隅ずみ、文化や芸術にまで大きな影響を与えていると感じました。音楽に喜び、音楽に励まされ、そして、コロナ禍の収束を願う気持ちを新たにしました。